「グループホームって何だろう?」「どんな施設?入る時に条件はある?」などグループホームという言葉は聞いたことはあるけれど、詳しくはよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、グループホームの基本について分かりやすくご紹介いたします。
グループホームとは?
グループホームとは、「知的障害者や精神障害者、認知症高齢者などが専門スタッフの支援のもと集団で暮らす家のこと」と厚生労働省により定義されています。
個人のニーズに合わせたケアやサービスを提供し、認知症高齢者や障がいを持つ人々が自立した生活を送るために支援する施設とされています。
(一部抜粋 引用:e-ヘルスネット/厚生労働省)
グループホームは2種類に分けられる
①障がい者グループホーム
知的障害や精神障害などを持つ人が自立的に生活出来るよう設計された施設のことで、専門的なケアを提供するサービスのこと。
お金・食事・服薬など自身で管理することが難しいことを支援スタッフが補い、日常生活で必要なスキルの訓練や社会的な相互作用の促進、医療的なケアなども含まれます。
通常、福祉作業所の近くの民家で5〜6人で共同生活を送ります。
②認知症高齢者グループホーム
認知症高齢者などが認知症の進行を緩和させるため、安全で快適な場所、日常生活に近い環境で集団生活をする介護サービスのこと。
食事・入浴・トイレなどの身の回りのケアから、認知症の症状に対応したコミュニケーション、また行動のサポートまで実生活に近い家庭的なケアを実現します。
通常、5〜9人の高齢者がヘルパーさんの助けを借りて共同生活を送ります。
利用対象者の条件は?
①障がい者グループホーム対象者の利用条件
障害者総合支援法が定める「障害者」に該当する身体障害者、知的障害者、精神障害者、難病患者の方が利用対象者となっています。
原則として、障がい支援区分1~6級に認定されていて「身体障がい者手帳」「精神障がい者保健福祉手帳」「療育手帳」のいずれかが必要となります。
また、身体障害の場合については、65歳未満および65歳に達する前日までに障害福祉サービスなどを利用したことがある方が対象となります。
②認知症高齢者グループホーム対象者の利用条件
医師より認知症と診断されており、要支援2または要介護1以上の認定を受けた65歳以上の方。(ただし、初老期認知症に該当する方や若年性認知症と診断された40歳~64歳の方方については利用が可能となっています。)
また、 利用する事業所の市区町村に住んでいる必要があり、医師による診断書の提出を求められることもあります。
※他地区からの利用でも一部認められる場合もありますので、各自治体にご確認ください。
メリットとデメリット
グループホームを利用する際のメリットとデメリットをみていきましょう。
メリット
①専門的なケアとサポートが受けられる
グループホームでは専門的なスタッフが常駐しているため、利用者のニーズに合わせたケアやサポートを受けながら日常生活の支援など、個々の状況に応じたサービスが利用できます。
②家庭的な環境で生活が送れる
多くのグループホームは家庭的な雰囲気を重視しているため、利用者が自分の家にいるような感覚で落ち着いた生活を送ることができます。
③共同生活やコミュニティと通して信頼関係も築ける
グループホームでは少人数での共同生活を通して、支え合いながら生活します。
このような環境では、孤独感を減らして戸惑いも少なく、利用者同士が助け合ったり、コミュニケーションも取りやすい環境です。
④プライバシーが守られている
部屋については個室か準個室のため、プライベートな空間もしっかり確保することが可能です。
⑤安全で安心な環境
利用者の安全を確保するために施設では安全対策が整っています。
そのため、利用者やその家族は安心して共に暮らすことができます。
デメリット
①定員数が少ないため入居待ちの可能性
グループホームは少人数での共同生活のため、その分定員数も少なく、場所によっては入居待ちとなっている可能性があり入居までに時間がかかる可能性もあります。
②医療ケアに特化しているわけではない
医療的なケアができるグループホームが増加傾向ではありますが、医療・看護スタッフの配置は義務ではありません。そのため、医療ケアには特化しているわけではありません。
③身体機能の低下や、暴言・暴力などで共同生活困難な場合は退去の可能性
介護を受けながらではあるが、ある程度自立して日常生活を送れることが利用条件のため、要介護度が上がってしまうと、他の施設への転居や一時的な入院などと相談される可能性もあります。
④人間関係に悩む可能性も
人間には誰しもがこれまでの生活の違いや、それぞれの個性があります。
入居者間で相性の不一致が起きてしまい、トラブルなどに発展する可能性もあります。
⑤入居時に住民票が必要になる
グループホームは地域密着型サービスのひとつのため、入居したい施設の市町村に住民票があることが必須条件です。
住民票のない地域にあるグループホームは、原則として利用できません(※他地区からの利用も一部認められる場合もありますので、各自治体にご確認ください。)
グループホームの選び方5選
グループホームを決める際には、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。
良いグループホームを見つけるための選び方を紹介します。
①運営推進会議へ参加する
希望するエリア内にグループホームの候補がいくつかある場合は、運営推進会議へ参加するのがいいでしょう。
運営推進会議は、参加自由でどなたでも参加することができるとされています。また、入所されている方の生活の様子を聞くことができますし、管理者やスタッフが施設の何に力を入れて運営しているかなども知ることができます。
②実際に施設へ足を運ぶ
生活を送る場所になるので、実際に目で見て確認することも大切です。
では、実際見学する時にどこを見るべきかについてのポイントを3つ紹介します。
- 施設内の環境や設備
施設や入居者の方の雰囲気、清潔感、設備、安全性などについてもチェックしましょう。また、リビングの生活感や快適に過ごせる環境かどうかについて確認することも重要です。
- 働くスタッフにも注目
施設のスタッフの質や経験は非常に重要です。スタッフの接し方や、表情にも注目!トレーニングや専門知識、接遇やケアの質についても確認してみましょう。
- 提供されるケアとサービス
施設が提供するケアやサービスが利用者のニーズに合っているか確認しましょう。 医療的ケア、リハビリテーション、レクリエーション活動など、どのようなサービスが提供されるか認識することも大切です。
③費用と契約条を確認
施設への入居を検討しいくつか候補を絞る際に、条件となるのは費用や介護・医療体制。
施設の費用や支払い条件、契約内容についても詳しく確認しましょう。
また、追加の費用や契約解除に関する条件なども確認しておくと良いですね。
④医療体制・介護体制のあり方
医療ケアができる看護師が常勤しているかどうかも確認すべきポイントとなります。
医療ケアは介護福祉士だけでは対応ができない部分になるので、看護師が勤務しているかも確認しておきましょう。
また介護体制が整っているかについても合わせて確認しましょう。
グループホームにおいて、食事や排泄、入浴などの介護サービスの質は入居者の生活の質に関わってくる部分にもなるため、非常に重要です。
⑤ショートステイ制度を利用する
通常ショートステイとは、介護者が何かの事情で介護できない期間や休息したいときに利用しますが、グループホームでは、短期間の入所をするショートステイを体験することができます。
体験の場合、介護保険は利用できませんが、入居者本人が過ごしやすいかどうかを確認するのが最重要のため、おすすめできる方法となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
現在、グループホームへの入居は、ご自宅での生活が限界になってから入居を検討する方が多いと言われています。
グループホームは、少人数で共同生活を行う中で、自分で出来ることはなるべく自分で行い、自立した生活を送るために支援してくれる施設です。
いくつかのポイントを踏まえて、利用者や家族のニーズに合った、信頼できるグループホームを選ぶことが大切です。
様々な情報を収集し複数の施設を比較しながら、より良いグループホーム選びをしましょう。